『 ウチのごはん ― (2) ― 』
「 ふんふんふ〜〜ん♪ 今朝も美味しそうでありがとう〜〜 」
フランソワーズは 腕の中の籠を眺めて にっこり☆
たった今 裏庭の温室から ミニ・トマト と サニー・レタス、 そして
早取りのキュウリを採ってきたところ。
「 おいしそう〜〜 ちょっとひとつ〜〜 ( ぱく )
〜〜〜 ん 〜〜〜 おいし♪ 」
真っ赤なミニ・トマトが 彼女の口の中に消えた。
「 うふふ シアワセ〜〜 こういう生活って憧れてたのよね〜〜
庭でお野菜つくって朝ご飯に食べる って最高よね〜〜 」
・・・ ああ そうだわ ・・・
チビの頃も こんな朝 あったっけ
そうそう 夏のヴァカンスの時に借りてたコテージ よ
パパとママンは 畑からトマトやレタスを採ってきてたっけ
そうだわ〜〜〜
近所のパン屋さんで焼きたてのバゲット、買ってきて
朝ご飯は テラスで食べてたのよ!
ママンお得意のオムレツに 地元のチーズが美味しくて
パパの淹れるオ・レのいい香り・・・
・・・ なんでもないメニュウだけど
最高だったわあ〜〜 あの味 今でも覚えてるもん
足元の近くまで小鳥さん達も寄ってきて
パンくず あげたりして
・・・ あんな夏の朝って毎年やってくるって思ってた
にこにこおしゃべりしてるパパとママンを見て
・・・ あんなカップルになりたいな〜〜って
いつも いつも 思ってたっけ ・・・
ふふふ ・・・ もっとチビの頃は
お兄ちゃんのお嫁さん になる! って決めてたっけ
そうよ わたし。
本気で お兄ちゃんと結婚するんだ って思ってたの
・・・ ねえ 可愛いファンション?
お兄ちゃん ! わたし ね ・・・
「 フラン?? フラン〜〜〜〜〜 どしたの? 」
つんつん。 肩を軽くつつかれた。
どうも ぼ〜〜〜っと庭先に突っ立っていた らしい。
「 ! え あ ・・・ お兄ちゃ・・・ 」
慌てて振り向けば ― 茶色の瞳が 柔らかく笑っている。
・・・ あ ・・・
お兄ちゃん じゃ ないんだ・・・
すご〜く似た雰囲気 感じたんだけど
ちがう わ
・・・ お兄ちゃん じゃ ない
「 なに? なんかあった? 」
茶色の瞳は ますます優しい。
「 ・・・ あ え う ううん ・・・
ふふ あのね あ〜んまり気持ちいい朝で ちょっと ぼ〜〜っと
してしまったの。 それにね これ。 」
真っ赤なミニ・トマト をひとつ摘みあげる。
「 温室から採ってきたんだけど すご〜〜くオイシイの! 」
「 へえ〜〜 まだ ある? ぼくももらっていい? 」
「 ど〜ぞ はい 」
「 あ ・・・ふふふ ありがと〜〜 ぱくん 」
「 どう? お日様の味 するでしょ? 」
「 〜〜〜〜 ホントだね! ねえ もっと採ってこようか 」
「 あ〜 食べごろの、全部摘んできちゃったの。
ほ〜ら こんなにあるの、いっぱい食べて 」
彼女は 手元の籠を見せる。
「 うわ〜〜 いいね〜〜
ふふふ こんな風にさ 庭から採ってきた野菜で朝ご飯 って
なんか アニメか映画みたいだ〜〜 」
「 ・・・ 映画? ああ そう ? 」
「 ウン。 あ コーヒー 淹れるからさ
あの とろとろオムレツ お願いしまあ〜す 」
「 はあい。 ジョー ホントにオムレツ 好きねえ 」
「 きみのオムレツ 最高だも〜〜ん(^^♪ 」
「 うれしいわあ〜〜 」
「 うっふっふ〜〜 朝ご飯〜〜 楽しみ〜〜〜」
ウチの卵焼き ― 彼は密かにそう呼んでいる。
金髪碧眼の彼女が作るのは とろ・ふわ〜な オムレツ なのだが
ジョーにとっては < ウチの味 > の 卵焼 なのだ。
お袋の味 を知らずに育った彼は 今 < ウチの味 > を
見つけた。
へへへ ・・・・
こ〜れが ぼくのお袋の味 さ♪
ん〜〜〜〜〜〜 たまごやき うま〜〜〜〜
えっへん!
こ〜れが ウチの卵焼き デス。
すげ〜 美味いんだぜ?
ねえ ねえ 君も食べてごらんよ〜〜
もう彼は世界中にむかって 自慢したいのだ。
ジョーは 食卓に向かう度に わくわく・どきどき いや にまにま?
もう毎日が楽しくてたまらない様子・・
最近買い出しとか 皿洗い、 洗濯モノ干し なんかも
彼はもう嬉々として 積極的に引き受ける。
「 あ ぼく やるよ〜〜 任せて〜 」
「 いいよ 自転車で行ってくるから・・・
買い物メモ、作ってくれるかな〜〜 重い? へ〜きへ〜き! 」
「 ふふ〜〜〜 洗濯モノ ぱりっぱりだよ〜〜〜
気持ちいいね〜〜〜 シーツ ぱりぱり〜〜 お日様のにおいだあ 」
こんな彼だけど ―
少し前までは いつも皆の後ろで それも 隅の方に退いて
じ・・・っと 彼らの様子を眺めていた。
寡黙なヤツなんだな・・・
ほう 東洋人は大人しいのか
・・・ ? なにも言わないの??
仲間たちは 不思議に思いつつも まあ そんなヤツなんだろう と
ちらっと彼に視線と流すのみ だった。
そう − 彼は いつも不思議な淡い微笑を浮かべ 黙っていた。
運命の嵐が なんとか小康状態となり ― 偶然 故郷の近くに
住むこととなった。 新しい < 仲間 > と一緒に だ。
ふうん ・・・?
一応 普通の住居 なのか〜〜
ま 合宿所 てトコだね
生まれ育った施設での暮らしとたいして変わりない日々だろう と思っていた。
それぞれに個室があるのには 驚いたが ま、結構なことだ。
住居は快適、 そして 当面差し迫った 生命の危機 はなさそう。
・・・ ふうん ・・・?
こんな生活なら
さいぼーぐ になるって イイ かも・・・
自分達の真実 に まだま〜〜〜ったく気づいていない、
この最新型最強 のはずのサイボーグ君は まことにお気楽〜〜に
構えていた。 もちろん 決して口には出さないけれど。
ちゃんと寝れて けっこう居心地いいじゃん?
なんか イイかな〜〜 この生活〜〜
まあ食生活には 期待していなかった。
なにせ 野戦食 で 味付けナシのトカゲ類の丸焼き が現れたりして
現代ニホンジンのジョーには マジで 目がテン だったのだから・・・
・・・ コレ 食うわけ???
だって 味 ないよ?
醤油〜〜 せめて 塩・コショウを
・・・ これっか食うもの ないんか ・・・
朝は 食パンとコーヒー 昼はコンビニ弁当 夜は施設の皆と簡単な食事。
そういう日々だろう と思っていた。
特に あの彼女はコンビニがお気に召した様子なので ・・・
・・・ あ〜〜
コンビニ・メニュウ が 並ぶだろうなあ
うん 便利だし ソコソコ美味しいし
ぼく的にも 馴染んだ味だし?
いいんでないかい 合宿所 だもんな〜〜
グルメの舘 じゃね〜んだよね
とっころが。
< 合宿所 > は たちまち < ぼくんち > になった!
つ〜まり 朝ご飯は 熱々・とろとろ〜〜のオムレツ 焼きたてパン に
温室で採れた野菜サラダ 熱々ミルクコーヒー
地元商店街でみつけた地元産のチーズとハムなんかもすぐに加わった。
「 ・・・ お いし〜〜〜 !!! 」
ジョーはもう毎朝の御飯が楽しみで わくわく目を覚ましている。
「 ふふふ この辺りはお野菜もオイシイし(^^♪
いい土地よねえ ・・・ ん〜〜〜 おいし♪ 」
彼女も満面の笑みで サラダやパンを頬張るのだ。
自然に頬を染めているその姿に 油断するとすぐに見とれてしまう。
ぼく すっげ〜〜 シアワセ かも☆
「 あ でも あのう〜〜〜
これ・・・ ジョーが食べたい朝ゴハン かしら
」
「 ― へ?? 」
ある朝 彼女は真剣な表情で 訊ねてきた。
「 だって ― あなた ニホンジン でしょう? 」
「 え ? あ うん ・・・ そうだけど 」
「 だったら ず〜〜っとちっちゃい頃から食べてきたごはん、
食べたいんじゃない? 」
「 え あ〜〜 う〜〜ん どうかなあ〜〜〜
ぼく 今のこの ウチの朝ご飯 がめっちゃ好き なんだもん 」
「 え まあ そうなの? 」
「 うふふ〜〜 ぼく 超〜〜シアワセだよ ウチの朝ごはん☆
も〜〜 毎朝が楽しみでさ〜〜 マジで! 」
「 そう思ってくれるているのならとっても嬉しいけど・・・
ねえ ジョーが食べたい二ホンの御飯 も教えてね 」
「 あは ぼくが食べたいのは きみのオムレツ〜〜 さ♪ 」
「 あのね スイハンキ ってキッチンにあるでしょう?
あれって ライス専用のクッキング・ツール よね?
使ってみても いいかしら 」
「 え ・・・ へえ〜〜〜 ここに炊飯器、あるんだ?
いいよ〜〜 一緒に使おうよ って すごくカンタンだから。
米 といで 水、入れて スイッチ・オン で 美味しいご飯が炊けるのさ 」
「 ふうん ・・・ 是非 やってみたいわ ライスを買ってくればいいのね?
ジョーはライスが食べたいのじゃないの?
ニホンジンの主食は ライス って聞いたことあるけど 」
「 あ〜? 別に拘ってないよ〜 ゴハン 欲しいければ
昼にお握りとか食べるし 」
「 オニギリって この前コンビニで見た アレ でしょ 」
「 うん 」
「 アレって お家でも作れるの? 」
「 うん 簡単だよ〜 あ じゃあ今度 米となにか中身にするもの、
買ってくるね 梅干しと〜〜 あ ツナ缶買えば ツナマヨ できるな〜 」
「 うめぼし って ・・・ ああ あの赤いプラムみたいの?
アレ ライスの中にいれるの?? スウィーツなんでしょう? 」
「 あは 梅干しってさ 酸っぱいんだ すご〜〜くね 」
「 すっぱい!! ドライ・プラムだと思ってたわ 」
「 梅って植物の実だよ。 ず〜っと長い間、漬けるんだ 塩とかで 多分・・・
ぼくもよく知らないけど ・・・ 」
「 ねえ 買ってきて! 食べてみたい〜〜 」
「 あ〜〜 いいけど ・・・ すっげ〜〜 すっぱいよ? 」
「 いい! 食べてみたいの〜 そうだわ!
スイハンキ で ライス調理して おにぎり 作ってみたいわ! 」
「 ・・・いいけど ・・・ 海苔、きっと苦手だよね? 」
「 のり?? なにかを貼り付けるの? 」
「 その糊じゃなくて ・・・ ほら コンビニで見ただろ?
お握りの周りにまいてある黒いヤツ。 」
「 あ! あれね えっと・・・ 海藻 でしょ? 」
「 うん まあ ・・・ 」
「 ・・・ わかんないけど でも チャレンジしたいの!
あ〜んなにいっぱい種類があるってことは ― ニホンジンは
アレが好きなんでしょ? ジョーも好きでしょ 」
「 あ〜 うん お握り、キライな日本人って いるかなあ?? 」
「 じゃ。 作りかた 教えて。 わたしも食べてみたいの 」
「 わかった うん ツナマヨ とか オカカ なら
とっつきやすいと思うし〜 」
「 わ 嬉しい〜〜 なにを用意すればいいの?
あ スイハンキ でしょう? 」
「 うん あとは米、買ってきて 〜〜 ツナ缶 あるよね? マヨネーズも。
なら 海苔と梅干しだけ買ってくるよ 」
「 ジョー ・・・ わたしに行かせて!
あの商店街で買えばいいのでしょう? ・・・ でも なに屋さん? 」
「 あ ・・・ 海苔・・は ・・・ 海苔屋 なんてないか・・・
う〜〜ん ?? とにかく今回は 駅の向うの大型スーパーにあるよ。
一緒に行こうか ? 」
「 ウウン。 一人で行ってみたいの。 ・・・ いい? 」
「 もっちろ〜ん あ 困ったらすぐに
」
ジョーは スマホ をずい、と差し出した。
「 了解〜〜 ・・・ あ 脳波通信 の範囲よね? 」
「 ・・・ アレ 町でやったら < 不審者 > になるよ・・・
どうしてもってなら スマホ持ちながら 通信して 」
「 わかりました ・・・ ラインします 」
「 お願いシマス 」
「 じゃ。 ・・・ 行ってキマス! 」
きりっと表情を引き締め 彼女はじ・・・っと前をみつめ
― ものすご〜く優雅な足取りで 買い物に出ていった。
あちゃ ・・・
めっちゃ 緊張してるなあ〜〜
003 の時より 顔、キツイかも・・・
― こっそり付いて行こうかな ・・・
ダメだよ 彼女は 003 だもん。
すぐにバレちゃう ・・・
ジョー君は そんな健気な?彼女の後ろ姿を 惚れ惚れ見送ったのである が。
― さて。
フランソワーズ嬢は きっちりと 米 と 梅干し と 海苔 を 買ってきた。
「 お。 すごいね〜〜 ばっちりじゃん? 」
ジョーは 買い物袋を受け取り 少しばかり驚いた。
脳波通信はもちろん ラインすら彼女は送ってこなかったのに ・・・
「 あ そうそう この銘柄の米 美味しいんだよね〜〜
梅干し〜 うん いいね! 海苔は あ お握り用 ってあるんだ?
すごいね〜〜 よく見つけたね〜〜 」
「 ジョー ・・・ あのね 告白します 」
「 へ?? 」
「 あのう ・・・ 」
パリジェンヌさんは 俯いて少し口ごもっていた が。
「 どうしたの? 」
「 あの ね。 お米も梅干しものりも ね ・・・
ぜ〜〜んぶお店の方が選んでくれたの。 」
「 え ・・ スーパーの店員さんが? 」
「 ウウン。 海岸通り商店街 で ・・・ お店の方に聞いたの。
八百屋さんでね お米 ありますか〜〜 って 」
「 え。 八百屋で?? なんで??? 」
「 だって ライスって野菜 でしょう? 」
「 ・・・ あ〜〜〜 ?? アレって なんだろう??
稲の実 だから・・・ あ 野菜 か? う〜〜ん・・・・? 」
「 そしたらね 八百屋さんがいろいろ教えてくださって 」
「 へ え〜〜 」
「 お米は お米屋さんって専門店があるから ・・・って。
商店街のお店を教えて下さったの 」
「 そうだよ〜 米は米屋さん なんだった!
ごめん ・・・・ スーパー ばっか利用してたから ぼく 」
「 それでね あと なにを買いたいのかい って。
八百屋さんのおばあさんが聞いてくださって・・・・
梅干し と のり は 二軒先の かんぶつやさん で 買えばいいよって。
ほら これ ・・・ 」
「 うん この梅干し すご・・・美味そう〜〜
海苔は いい海苔だよう〜〜 ウマいお握り できそうだね 」
「 そ そう?? ・・・ みなさん とっても親切だったわ 」
「 うん うん よかったね〜〜 」
こ〜〜んな可愛いコがさ
思いつめたみたいな瞳で 聞いてきたら
だ〜れだって 丁寧に教えちゃうよな〜〜
「 よおし! お握り 作ろう! 」
「 きゃ 楽しみ〜〜 」
「 で〜〜は 炊飯器 つかいま〜〜す
あ その前に きみ 少し休みなよ?
ね〜 お茶しよ? ぼく ホット・ケーキ 焼くから! 」
「 ほっと・け〜き?? 」
「 あ〜〜 う〜〜んと ・・・ あ パンケーキ みたなの かな 」
「 すごい! ジョー 作れるの?? 」
「 えへへへ ホット・ケーキ ミックス って つよ〜い味方があるんだ
大丈夫 ちゃんと食べられるよ〜〜 美味しいし☆
手 洗って 着替えてきなよ〜 そんで のんびり待ってて 」
「 ・・・ ありがとう ・・! 」
彼女は きゅう〜〜〜っと ジョーの手を握ってくれた。
「 え あ は ・・・ えへへ ・・・ 」
うっぴゃあ〜〜〜
・・・ 細い手なんだなあ 〜〜
! そうだ アイスも乗っけよう!
昨日 買ってきたの、あるもんな〜〜
ジョーは めちゃくちゃ張り切っていた。
カチャ。
フランソワーズは にっこり・・・ フォークを置いた。
「 ん〜〜〜 おいしかったわ☆ ジョーってお料理 上手なのね 」
「 あ あ〜〜 えへへ・・・ 」
「 ふかふかでとっても美味しかったわ! アイスクリームが乗ってて
もう 最高のお茶タイムね♪ 」
「 あ そ そだね〜〜 アイスって合うね 」
「 パンケーキが美味しかったからよ〜〜 すごいわ〜〜 ジョー! 」
彼女は ジョーが アレで さささっと焼いたホット・ケーキに
大絶賛してくれた。
確かに ふんわり焼けて均一の味、そして 乗っけたアイスの効果は
絶大だった ようだ。
「 うふふ ・・・ お腹 いっぱい☆ ジョー ありがとう! 」
「 あは ・・・ あ〜〜〜 あのね ぼくも告白します 」
「 ?? 」
「 アレね これを使えば だれでも美味しいホット・ケーキが
できマス。 」
とん。 彼は ホット・ケーキミックス の箱を取りだした。
「 ほっとけーきみっくす? ・・・ ああ 粉とお砂糖が
いい具合に混ざっているのね 」
「 ・・・ 多分。 」
「 でも 焼いてくれたのはジョーでしょ(^^♪
ホント 美味しかったです。 また 作ってね! 」
「 あ コレでよければ もちろん〜〜〜 」
「 嬉しい〜〜 じゃ 晩ご飯には お握り 作りましょ 」
「 あ うん! きみの買ってきてくれた海苔と 梅干し で 」
「 スイハンキ ゴー! よね〜〜 」
「 そ。 もうね スイッチいっこで 美味しいご飯 なんだ 」
くすくすくす ふふふふふ
二人は笑い合いじゃれあう仔猫みたいに上機嫌で キッチンに入っていった。
― 最高のお握り が出来上がったは いうまでもない。
このお握り がキッカケとなり フランソワーズは地元商店街の
八百屋さんのおあばちゃん との交遊が始まった。
日々の買い物はもちろん ― ある時 彼女は発見してしまった。
コンビニお惣菜 で < 煮物 > という不思議なモノを。
「 あら! これ ・・・ お野菜がいっぱい! 」
お惣菜の棚に 張り付いてしまった。
「 ね ジョー! これは ・・・ 煮てあるお野菜ね? 」
「 あ〜 それは筑前煮だよ。 野菜とか鶏肉を煮てあるんだ 」
「 ふうん・・・? 二ホンの ラタントウイユ みたいね
味は・・・トマト味? 」
「 え! いや これは え〜〜と しょうゆ と 出汁味かなあ 」
「 買ってきましょ! 美味しそう〜〜
ジョーは これ 好き? わたし お野菜を煮たのって大好きよ
ニンジン でしょ ジャガイモ ・・・ これは なあに? 」
「 え これ ゴボウ かな〜 」
「 ゴボウ ・・・ ああ バードック ね
青いのは ・・・ これはなあに? 」
「 あ〜 インゲンかなあ ぼく ちょっち苦手・・・ 」
「 そうなの? 是非是非食べてみたいわ〜〜 」
・・・ ほどなくして 筑前煮はジョーんち のメニュウに加わった。
「 あのね あのね 八百屋さんのおばあちゃんに教わったの!
ちくぜんに って ウチでできるのよ〜〜 ほら! 」
フランソワーズは 得意気に鍋の蓋を開けてみせた。
根菜類 やら 鶏肉 なんと こんにゃく までが
煮えていい色になっている。
「 え ・・・ こ これ きみが作ったの? 」
「 うふふ そうなの〜〜 ぜ〜〜んぶ 八百屋さんのおばあちゃん が
< おししょうさん > デス 」
「 すげ・・・ うわ〜〜〜 こんなの、ウチで作って
食べられるんだ〜〜 うわ〜〜〜 」
「 あら 二ホンでごく普通のメニュウなのでしょう?
さっと炒めてから煮るから 美味しいのですって 」
「 ぼく 施設育ちだろ? コンビニお惣菜 しか知らなくて・・・
うわ〜〜〜 感動だなあ〜〜 食べたいっ! 」
「 ― い〜〜〜〜っぱい 食べてねっ !!! 」
彼の < ぼくんち > の メニュウはだんだんと和風 それも
まったくふつ〜の現代日本家庭のメニュウが 増えていった。
― そして。
島村ジョー君 の人生にも 新しいステージが巡ってきた。
「 ジョー君 ご苦労さんじゃったのぉ 」
ジョーは 博士のお使いで コズミ邸に届け物をした。
届けモノ といっても ― 見かけは普通の?段ボール箱 だが
― 中身は やたら重い精密器機 なのだ。
「 いえ〜 あ ラボの中まで運びますよ〜〜〜
これ ・・・ めっちゃ重いから 」
「 おお ありがとう〜〜 すまんですなあ〜〜 」
「 あは いちお〜 これでも 009 ですからね 」
ジョーは 軽々とそのメカをコズミ・ラボの中枢に近いところに
設置した。
「 ― さて と これでいいと思いますが
どうか点検してくださいね 」
「 うむ うむ ありがとう 〜〜〜 」
コズミ博士は 素晴らしい手際で作業を済ませた。
「 完璧ですな ジョー君。 ありがとう! 」
「 お役にたてて 嬉しいです〜 」
ジョーは にっこり会釈をした。
「 あ〜〜 時に ジョー君。 」
「 はい? 」
「 もし 興味があれば ですがな。
― 出版社の編集部でアルバイトを してみませんかな 」
「 ・・・ え ・・・・??? へ へんしゅうぶ?? 」
「 アルバイトというか まあ 雑用係 みたいなモンじゃが
どうでしょうな? 」
! ・・・ うわ〜〜〜〜〜〜〜
Last updated : 04.11.2023. back / index / next
*********** 途中ですが
食べ物ハナシ は 買いていて楽しいです ☆
ぐだぐだ話 まで 続きます <m(__)m>